2000年に リトル・ダンサーという映画でも有名になり、その後 2008年から2012年まで、ブロードウェーミュージカルとして一世を風靡したBILLY ELLIOT。2009年トニー賞ではベストミュージカル他10部門を獲得。今では、アメリカ全国ツアーをし続けるこのミュージカルの初代Billy Elliot役を務めたGiuseppe Bausilio(ジョッセッペ・バシリオ)君をインタビューすることになったのです。 日によっては二回公演もこなす過激なスケジュールの中、ブロードウェーミュージカルの子役たちはリハーサル以外に学校の勉強もしなければならない、その上主役が子供の場合、その役に一人以上の役者さんが必要となる訳ですが、BILLY ELLIOTは三人の子役たちが大活躍。その上、この三人それぞれが、イメージ的に全く違うところも、人気になった特徴の1つになったのかもしれません。
観に行った観客たちは、ショーがスタートするまでこの三人のうち誰が出てくるかはわからない、自分のお目当ての主役に必ず出会えるとは限らない、というのも面白い。
当時私は、特にお目当てがいる訳でもなく、誰になってもオッケーと行ってみると、このミュージカルのストーリー性やすべての面の質の高さに感激しっぱなし、、、思い切りおなかをかかえて笑ってしまうシーンあり、クリネックステッシュを取り出してすすり泣いてしまうシーンありと、感動の連続、二時間半。
その夜の主役は、すっかり私の♡をギュっとつかんでくれた当時13才のGiuseppe君。あまりの感動に、是非あとの二人の演技も気になり、半年後、ワクワクしながらもう一度行ってみたら、、、、、なんとその時もGiuseppe君だったんです!!!
きっとこれが運命の出逢い(笑)だったのかもしれません、だって二年後の昨日、1対1で会えたんだもの。
今回のこのインタビューはJ-Collaboという日本の文化やアートをNYから世界に発信するというとてもユニークな、ウェブベースの非営利団体の企画もの。半年前から私もここのボードメンバーになったことから、今月末NYカーネギーホールで、東京大学同窓生グリークラブのメンバーたちが、日本震災や去年暮れに東海岸を襲ったハリケーンサンデイーのために行うチャリテイーコンサートイベントに、Giuesppe君も出演することを聞きつけての企画となりました。
そのコンサートイベントで彼が演ずるのは、『狂言&能の舞』。1年前の14才、日本伝統文化に興味を示し、それから稽古には必ずやってくるという、その彼の中に秘めた思いとは何なのだろう、、、といくつか質問を投げかけてみました。
すると出てくる出てくる、そこには15才の青年とは思えない日本の伝統を愛する姿がありました。
『日本のイメージはいつも”クール”。小さいころから、ずっと侍や忍者に憧れて育ったけど、一番衝撃的だったのはトムクルーズ主役映画『Last Samurai (ラスト侍)』だな。
いろんな国の人と話しがするのが好き、七カ国語話せるんだ。裁縫、料理も大好きだよ。何でもできるようにならなきゃいけない、って育ててくれたお母さんに感謝してる。お母さんのおなかの中にいたときから、クラシックバレーの音楽を聞いて育ったからね、(母親はバレーの先生)生まれた瞬間からバレー好きだったことは、ごく自然の流れ。無理なんか全然してないんだ、だって大好きなことだから。そのお陰でBilly Eliottの役ももらえた訳だからね。今でも毎日4時間から7時間は練習してるよ、バレーだけじゃなく、歌やヒップホップなんかの他の躍りもね。学校の勉強もしないとならないから、そうだね、毎日かなり忙しいかな。
なんで狂言や能か、、、、僕にとってはとても自然の流れだったんだと思う。
立ち振る舞い、息使い、静けさ、そのすべてはパフォーマーとしての基本だと思うんだ。だから無理してやってるなんて思ったこともない。袴を自分で着れるようになったことも、すっごくうれしいんだ。
袴を着ている時の自分が好き、だって力強くなれる気がするから。袴を着ると姿勢が正せる、姿勢が整うとエネルギーがでてくるって感じがする。
将来の夢、、、それはやっぱりハリウッドで活躍すること。映画には是非出てみたいと思う。だけど、やっぱり自分の基本はクラシックバレー、だから必ずそこには戻ってくる、戻らなきゃって思う。戻るっていう意味はね、バレーはこれからもずっと躍り続けたいと思ってるってこと。それが自分の根底にあるアイデンテイテイーだからさ。』
インタビュー中、かわいい子犬ちゃんがうろうろ。子犬の名前はBilly、三歳。シカゴ公演中に、道ばたに捨てられている犬を拾ってきたのだと教えてくれました。
最後に同じ年代のテイーンズたちにメッセージを、とお願いしたところ、”迷い悩むことも多いと思う、そんな葛藤の中で好きなことが見つけられたら最高だよね、でも好きかどうかは、やってみないとわからない、だからいろんなことを試してみたらいいと思う”。
Giuseppe君の美しい立ち姿を見られる2月26日が、今からとても楽しみになってきました。
あっ、今、雪が降り始めてきました、、週末はニューヨークは雪景色になりそう、、、、。