アメリカ東海岸を直撃したハリケーンSANDYから1週間が過ぎました。
マンハッタン市内は昨日から徐々に電気もアップし、地下鉄も今日からほぼ全線運転を開始。
避難していた人たちも自分の家にやっと戻れるようになってきました。私たちのアパートもこの1週間、友達や家族が出たり入ったりしていたので、なんだか静かになって急に寂しくなってしまいました。
でも、NY近郊の復旧には、とても長い時間がかかりそう。特に郊外に住んでいる人たちの生活を考えると、胸が痛みます。
さて、ぎりぎりまで開催予定にしていた11月4日のニューヨークマラソンは、開催二日前の金曜日に正式にキャンセル。半年間この日のためにトレーニングに励んできたランナーたち、特に海外からこのためにNYにやってきたランナーたちにとっては、フルマラソンが、どれだけ大変なことかが実感できるだけに、それはショッキングで残念なこと。Thomas (斗真寿=トーマス)もそのうちの一人。
でも今の状態で街の状況や、5万人のランナーたちや応援する人たちの安全だけでなく、まだ水も電気もない人たちのことを考えると、今回キャンセルになったことは正しい決断だったと思います。
そんな中、土曜日から、ランナーたちが考えた思い思いの過ごし方でマラソンの当日は過ごそうじゃないかと、いろいろな情報がニューヨーク中を飛び交い始めました。さすがニューヨーカー、考えることが早いっ、すごいっ。
そのうちの1つ、一番すごいなと思ったことは、被害がかなりひどかったスタッテン島のお掃除と、島の人たちの家を回って物資を持って配るというボランテイア。なぜスタッテン島かというと、毎年マラソンのスタート地点だから。
参加条件は、特に以下の物をリュックサックに入れて持ってくること: 生でない食べ物、石けん、ペットフード、懐中電灯、ゴミ袋、赤ちゃんの粉ミルク、暖かい洋服、赤ちゃん用のおむつやワイプ、電池、毛布、電話用のプリペードカードなど。
WHAT: Runners are being asked to bring backpacks filled with some of the following supplies needed in Staten Island: Non-perishable food, Soap, Pet food, Flashlights, Trash bags, Infant Formula, Warm Clothing, Baby wipes, Batteries, Pre-paid cell phones, Blankets
そして見事に、この企画には、想像を絶する数の人数のランナーが集まりました。世界から集まったランナーも一緒に、マラソンに出場する変わりにボランテイアをしようという、なんとも素晴らしいアイデアだと思いませんか? もちろんThomas も出動! 彼は赤ちゃん用品、洗濯洗剤、モップを持っていきました。
今朝から正式なレースにはならないけれど、公園の中でフルマラソンを完走しよう集まったランナーたちや、その家族で公園はあふれんばかりのすごい人数。
ランナーたちは それぞればらばらに走っているけれど、その家族や友達たちがランナーたちに声がけをしながら、走り過ぎるランナーたちに”頑張れ、完走するんだぞ”と応援しているその姿に、なんだか胸がジーンとしてきてしまいました。
1年のうちで、最もこの街が盛り上がるNYマラソン、今年はメダルをもらえる訳でもないのに、市民たちが外国人たちが、この公園に集まって、まるで本当のレースのようにそれぞれを応援する姿は、とても美しかった。
一通り、ランナーたちの走る様子を見たあと、道を横切って自宅に帰ろうとしたときに、日本人女性のランナーグループを発見! なぜか全員の帽子の上に、かわいいヒヨコのお人形さんがくっついていました。
その彼らの会話がなんとなく聞こえてきたので、耳をすませて聞いてみると、、、、、”よかったわよね、始めてのニューヨークにこうしてみんなで元気に来れてさ!” と。そのうちの一人の女性が、”完走するとかしないとかじゃないよね、こんないい天気に、セントラルパークで走れただけでも幸せと思わなきゃ。いままでの人生のうちでさあ、みんなでいい経験ができたことに感謝しようね。” と全員が手をとりあって話をしているのです。
なんとも微笑ましい日曜の午後の光景でした。マラソンはキャンセルになってしまったけれど、悲しい、悔しい、残念だという思う気持ちを、どうポジテイブに変えることができるか、それぞれが工夫してできることをする、これがMAKE A DIFFERENCE そのものなんじゃないかなって思うのです。そして今日1日を振りかえってみると、きっとフルマラソンに出場したと同じほど、忘れられない思い出がたくさんできた日になったような気がしています。
最後に Thomas=トーマス(斗真寿=どうやらこの名前の漢字、仲良しの日本人の友達がつけてくれたらしい)
After going to Staten Island and seeing the damage for myself with my own eyes I have to say that seeing it on tv doesn't even do it justice. It is truly worse than you can even imagine. It even felt a little strange to take pictures. But it was certainly a humbling experience. Off to see what other volunteer work I can do this week.
(訳:実際にスタッテン島での状況を自分の目でみたあと、テレビで見た光景や自分が想像していた以上に凄まじい被害だった。そんな中で写真を撮るという気持ちにもなれず。でもとても敬虔な経験ができたと思う。今週は、もっと自分に何ができるか考えてみたい。)