PUMPKIN IN NEW YORK - ニューヨークにかぼちゃが登場!

今、ニューヨークでとっても話題になっている日本人のアーチストは誰〜〜だ? では、ヒントを2つ、水玉模様、そしてカボチャ。

答え:草間彌生(くさま やよい)さん。彼女は彫刻家でもあり画家でもあり小説家でもある多才なアーチスト。

その彼女の作品展が今、ニューヨークのホイットニー美術館で9月30日まで行われています。そして、彼女とのコラボレーションに成功したルイビトン、5番街の57丁目にあるルイビトンのお店のショーウィンドーも店内も草間アートだらけ。

彼女が生まれたのは1929年、だから今年で83才。生まれたところは、ミステリオのサマーキャンプも行われている長野県松本市。小さい頃、20世紀を代表するアメリカ画家ジョージア・オキーフというとても有名なアーチストにあこがれ、27才の時、勇気を出してジョージア・オキーフ氏に直接手紙を書いて送ったというエピソードがあります。

その後、オキーフ氏から ”それほどまでにアートが好きならば、NYにいらっしゃい、そしてその道を極めるために頑張り続けなさい” と手書きの手紙が届いたことがきっかけとなり、28才の1957年から1973年までニューヨークで過ごし、斬新なアートをたくさん作り続けました。

ニューヨークで仲良しだった彼女の友達の一人には、今は亡き有名なポップアーチスト”アンディ・ウォーホル”だったとも言われています。

幼女の頃から今でも、総合失調症という病気とずっと向き合っている草間さん。小さい頃から、幻覚が見えるたびに、それをスケッチブックに描きとめていたといいます。今でも精神病院とアートスタジオを入ったり来たりの生活の中、作品を作っているときが一番幸せなのだそうです。水玉模様をこよなく愛する彼女は、パジャマも水玉模様。そして昼間着る洋服も水玉がとても多く、大好きな水玉を見たり身につけると、なぜかとても心や気持ちが落ちつくのだとも語っています。

実は、前からこの草間さんの大ファンだった私は、アーチストでもあるジョッシュの元日本語の先生から、草間さんのカボチャアートを大分前に譲り受け、我が家の家宝になりました。

そんな隠れ草間ファンのこの私に、今回、思いもかけないある仕事の依頼がやってきました!

毎週日曜の朝 CBSというチャンネルで放映している Sunday Morning というテレビ番組の中で、草間さんの特集を組むことになり、その彼女のインタビューの吹き替えをやってみないか、というお誘いだったのです。

吹き替えなんてやったことがないし、自信は全くなかったけれど、大好きなアーチストの草間さんとくれば、チャンレジしない訳にはいかないぞ、と勇気を出してやってみることにしたのです。

かつて20代の頃、フジテレビに勤めていたことのある私は、CBSの門をくぐると、なんだかとっても懐かしい気持ちになりました。

すっごくかっこいいアジア系の女性プロデユーサーが笑顔で迎えてくれ、簡単に自己紹介をし合った後、編集室に案内され、編集マンとご対面。そこで三人で編集前の草間さんのインタビューを見ながら、どこで彼女の言葉を切るか、何を残すかを相談し合いながら原稿作り。

この原稿でいこうと決まった後、別の部屋に私だけ案内されました。案内された部屋は四畳半くらいの窓もないちっちゃな部屋。少し高めの椅子が1つと譜面台が1つ、それにお化けのような大きなマイクが1つ。

椅子に座ると、さっき会ったばかりに編集マンとプロデューサーの声がスピーカーを通して部屋中に聞こえてきました。

”準備はいいかい、じゃあ1行目から読んでみて”という指示に、原稿をセクションごとに英語で読んでいきます。途中、プロデューサーが何度も、”うーん、いいんだけど、なんかこう感情をもっと入れてみて” とか、”草間の気持ちになって読んでみて”とか、”そこはもっと明るく元気よくいってみようよ” などというコメントを聞きながら、オッケーが出るまで何度も何度も読み続けました。

かれこれ1時間くらいたったかな、”Thank you, You did well.(ありがとう、うまくいったよ)" というアナウンスを聞き、無事終了。

吹き替えっていうのは、こんなプロセスで行われているんだ、ってとっても勉強になりました!

気になる放映日は明日の日曜日の朝。どのくらい草間さんのインタビューが出るのかも、私の吹き替えの声が出るのかも、全くわからないけれど、やったことのないことを試してみるって、楽しいなあと心から思えたし、これからは家に置いてある草間パンプキンを、もっともっと大切にしようって心に誓いました。

そうそう、今度の月曜日、アメリカではジューイッシュ(ユダヤ教)の新年(お正月)が始まる日。日本は敬老の日。まわりにいるおじいちゃま、おばあちゃまを敬って、大好きだよ、って伝えてね。