午後4時、待っても待ってもなかなかこない地下鉄。
40分経ってやっと来たけど異常な混みかた。
後ろから押され乗車したあと、車両真ん中に行き着くと、座席の両側には人が座っているのに、なぜか真ん中の席だけが1席空席。
その空いている席に座ろうとしては、みんなハッとして座らない。なぜだろう、、、と覗いてみると、その1席のくぼみにコーヒーがまるで池のようにチャプチャプと溢れていた。(ニューヨークの地下鉄の座席は硬いプラスチックでできている)
次の駅で片側の一人が下車し、新しく乗ってきた人が女性がその席に座る。するといきなり、何やらガサガサと必死にカバンから探しものをしている。
一体何を探しているんだろう、、、カバンの中からあるだけのテイッシュペーパーを取り出し、溢れたコーヒーを紙に染み込ませるように座席を拭き始めた。でもそんな量じゃ全然足りない。
それを見ていた一人の若者男子、”もっとペーパーがいるんじゃない” と自分のリュックから2−3枚のナフキンを取り出し彼女に差し出す。それを見ていた他の人も ”それじゃ足りないよね、これも使って” とまるでチェーンリアクションのように、私も私も、と紙をオファーする人が次から次へどんどん増えていく。
彼女はただ黙々とひたすら席だけでなく そこいらに飛び散った痕跡までも拭き続けている。
そして遂に紙に染み込まれたコーヒーは取り除かれ、座れる状態になった座席。なんだか他の座席よりも数倍綺麗になった感じ!
でもここで問題発生、染み込んだ濡れた一つの丸いボールのようになった紙からは、ポタポタとコーヒーが垂れている。捨てる場所がない、、、、と困った表情の彼女。
すると一人の男性の若者が彼女に駆け寄り、”僕は次の駅で降りるから それ貸して、僕が捨てるよ”、と笑顔で彼女の手から引き取った。
自分の濡れた手を拭くものがない彼女、、、、、
あ、そうだ、そういえば、ウエットテイッシュがあったかも、とカバンから取り出し、”自分の手を拭くために使って” と差し出した私。
そんなことをしているうちに、目的の駅にもう直ぐ到着する寸前で、”捨てるよ”、と手を差し伸べた青年も私と同じ駅で下車の準備。
地下鉄内はとても混んでいる中で、excuse me excuse me すみません、すみません、と言いながら 人の合間を縫うように下車。
下車途中、大勢のみんなが”席がきれいになってよかったよね” と声を掛け合うニューヨーカーたち。
普段は全く余裕なさそうに、なりふり構わず忙しい表情で生活しているニューヨーカーたちだけど、ちょっとした小さなことには、みんなが HELPING EACH OTHER 協力し合う光景をよく見かける。
こういうところがニューヨークの魅力。
見て見ぬふりをする方が簡単だけど、ほんの小さなMake A Differenceで、コミュニテイーが変わっていくのだと思う。
40分も待たされた地下鉄だったけど、なんだかすごく気持ちがよかったなあ。