How old am I?
私が心から尊敬しているカニングハム久子先生。
彼女はニューヨークで、50年ちかく情緒障害の研究を続け、障害を子どもたちのためのカウンセリングをなさっている現役のドクターだ。その彼女とは、2か月に一度、定期的にランチデートをする。
今月もその時がやってきた! 先生のご主人が亡くなられて1年近くたつ。それは寂しくなられただろう。でもいつも背筋ぴーん、厳しさの中にやさしさをたくさん持ったチャーミングな先生だ。だから久子先生とのランチは私自身の癒しの時間にもなる。
いつもは先生のお宅にお邪魔して、お家でランチをごちそうになるのだが、今回は是非連れていきたいところがあると歩いて向かったところは、イタリアレストラン。
先生は10代終わりのころ、とっても大きな事故にあわれ、片足が義足。当時、義足をつけて生活することは、とても辛かったと言う。偏見の目で見られたから。でも、こんなことには負けてはいらない、と同志社女子大学英文科卒業後、アメリカで修士号をとるためにニューヨーク市立ハンター大学に入学。お父様がいつも言っていたこと、”女だからといってできないことはない、好奇心を持って何にでも立ち向かうんだぞ”。今から50年以上も前のこと。
義足をつけているとは思えないほど、普通に歩かれる久子先生、でも私は先生と手をつないで歩くことが大好き、先生の手のぬくもりを感じられるから。
このレストランは、サービスがとてもいいのよ、と先生おすすめの席に案内され、何を食べようかとメニューを見ていると、、、、、そこに現れた私達のテーブルを担当してくれるウェートレス。
”Welcome! What can I get you?" (ようこそ、何を召し上がりますか?)My name is Helen. 私はヘレンです。
ヘレンには笑顔がみなぎっていた。白髪で、とても品のあるエレガントな雰囲気。胸にはなにやらバッチがいくつかついている。
"Hisako, is this your friend?" (ひさこ、これはあなたのお友達?)と質問するヘレン。久子先生とも親しいことがわかった。すると久子先生がヘレンが何才かあててみてと、私の顔を興味深そうな顔で見つめた。
うーん、70才後半くらいかしら、と。たとえそうだったとしても、すごいことだと心の中でつぶやくと、ヘレンはすっごくうれしそうに、 "I am 96 years old! I've never stopped working and will work until I go to heaven" = 私は今年96才、仕事を休んだことはないわ、こうしてずっとウェートレスをしているの、きっと天国に召されるまで働き続けると思うわ!
OH MY GOD!!!! 心から本当にびっくりした、感動!!!
その秘訣を聞いてみると、毎日行くところがある、目的があることが元気の源だという。またいろんな人と会って話しをすることが楽しくてたまらないと。実際の自分の年を意識したことはないと教えてくれた。
先週、聖路加病院の日野原先生がニューヨークへ講演のためにいらっしゃった。彼は今年100才を迎える。その先生も、『好奇心を持つこと、いくつになっても自分からやりたいという気持ちを持ち続けることが健康で年を重ねる秘訣だ』とお話しされた。
やっぱりそうなんだ。
だったら絶対、久子先生も100才のバースデーを迎えることは確実だ。久子先生は、11月初旬から1か月、日本全国講演の旅に行かれる。今回は、東北にも足を運ばれるそうだ。
私もステキな先輩たちに負けないように、好奇心を持ち続けたいなあ。