I WILL by Matthew Long 絶対出来る!
今年もたくさんの人間ドラマがあったニューヨークマラソン、そこで今日は、その中でも”これはっ!”というストーリーを紹介したいと思います。
今回私達は、FDNYのロゴがついた赤いユニフォームを来てマラソンを走りました。(前のブログ写真参照)
このFDNY=Fire Department New York とは ニューヨーク消防署のこと。
そこで、FDNYでもない私達が、なぜこのユニフォームを着て走ったのかについてお話ししましょう。
3年前までFDNYの一員だったMatthew Long (マシュー・ロングさん、右上の写真の左側が彼)、当時39才の彼はFDNYの消防士たちのフィットネスのトレーナーでもあり、色々な大会で優秀な成績を数々おさめていたランナー、トライアスロンの選手でもありました。
その彼が、2005年12月、自転車に乗って仕事に行く途中大型バスにはねられ、一命はとりとめたものの、その後半年の入院中に40回以上もの手術を受け、もう一生歩くことは不可能だと医者に宣言されてしまいます。
彼がこの日、自転車を使って通勤したのにもわけがありました。それは丁度その時期、バス会社がストライキ中で、比較的道がすいているだろうと自転車を利用したにも関わらず、バス会社とは全く関係のない、ある会社のイベント用にチャーターしたバスにはねられてしまったのです。
手術は成功したものの、この3年間のリハビリは言葉では表せないほどの辛さだったと語っています。毎朝起きると、ベッドの中で必ず20分以上のストレッチをすることが日課のMatthewですが、体の痛みはまだ消えていません。内蔵、頭部、腕、足と彼の体を支える機能すべてに、メスを入れられながらも、彼が誓った言葉、I WILL (絶対できるはず)。この言葉通り、今年の始めニューヨークマラソンへの出場することを決めてから、過酷なリハビリとトレーニングを克服(こくふく)し、見事に7時間21分のタイムで完走を果たしたのです。
FDNYもその彼のあきらめない姿勢に感銘を受け、全面的に彼をサポートしようとお揃いのTシャツを作成、私達も彼にできることが何かあればと、彼が主宰者として発足したOrganization=組織 『I WILL』 のステッカーをふくらはぎにはり、お揃いのTシャツを着て、彼をサポートするチームと一緒に参加することを決めたのでした。
マラソン前に彼が私達にこう語ってくれたのです。”これまでたくさんの人が自分を支えてくれ励ましの言葉と勇気を与えてくれた、でも実際はこんな辛い思いをするのなら、死んだほうがましだ、と心の中でずっと思っていたんだ、でも、他の州で自分と同じようにトラックにはねられた経験を持つアスリートの新聞記事を読み、彼に連絡してみたら、その彼が自分にこう言ってくれたんだ、Things have gotten better for me. If you work hard, they will get better = 回りの状況がどんどんよい方向に向かっているんだ、だからもし君も、もっと頑張ったらきっと絶対によくなるはずだよ、と” このとてもシンプルな言葉の中に、自分もあきらめることをやめたんだ”と。
マラソン当日は、朝7:30からハンデイーキャップの人たちのレースがいち早くスタート。(一般スタートは9:40)私たちランナーがバスでスタート地点に向かうその車中から、ゆっくりとスタートをきったハンデイーキャップの選手たちの中に、Matthewとその彼をサポートすると人たちのグループの姿を発見(写真参照)、思わず窓をあけて、GO MATTHEW!!! 頑張れMatthewと大声で声援するランナーの私達。その声を聞いて、橋の上から素晴らしい笑顔で手をふってくれたその彼の姿には、涙が出るほと胸がうたれました。
そのすぐ後には、沖縄から義足2本で参加した島袋さんの姿も発見。彼も大きな笑顔で私達に手をふってくれました。
7時間21分で見事にゴールインしたMatthew、フィニッシュラインではあまりの感動とうれしさに、いきなり地面に横になり腕立てふせをして、その喜びを体で表現していたとのこと。
昨日、その彼からこんなメールが送られてきました、"I have just completed my goal of running the NYC Marathon as a challenged athlete. It took 7:21 min part of which was fun and the other part painful but its done! I did it to show the power of the human spirit and to give hope to those that have mountains yet to climb. (無事にチャレンジアスリートとしてゴールを果たすことができました。7時間21分というタイムではあったけれど、楽しい時間でした。無論、辛かったことは事実です、でもやりました! ボクは今回、人間の精神力のパワーを自分に試してみたかった、そしてなによりも、山にまだ登るきることのできないような苦痛を持った人たちのために、希望を持ってもらいたい、とチャレンジしてみたかったのです。" と。
Matthew は、もう消防士として復活することはないだろう、と言っています、でも今後は、自分の経験を通して、消防士を目指して入団してくる人たちの教育に力を注いでいきたいたい、と語ってくれました。
MATTHEW IS OUR INSPIRATION TO ALL OF US! 今年のマラソンは Matthewが私達に、感動と勇気を与えてくれました、そして彼こそ、真のMake A Difference を教えてくれたと確信しました、ありがとう、Matthew!!!