Midori and Friends
2001年のミステリオサマーキャンプにプログラムデイレクターとして参加して下さった、バイオリニストの五嶋みどりさんの財団 『Midori&Friends』 がこの冬15周年を迎えました。その記念のお祝いとして11月半ば、2つのイベントがここニューヨークで開催されました。
15周年記念イベントのキックオフとして行われたこの日のイベントは、午前中と夜の二つのプログラムで構成されました。午前中、104丁目のハーレムにある公立小学校”PS72”を訪れたみどりさんは、ピアノ伴奏のThomas Sauer さんとともに、バッハ、ベートーベン、ドボルザークの作曲家たちの作品の他、比較的新しい作曲家John Corigliano やPablo de Sarasate 氏の作品を小学生たちのために演奏した後、子供たちからのたくさんの質問ひとつひとつに、丁寧に答えながら、ひとりひとり音楽を通して何を感じたか、みんなと楽しく会話をされていました。(上の写真はみどりさん他、PS72の音楽の先生、財団のExecutive Director Judi Lindonさん、財団のボードメンバーのAndrew氏とのぞみ)
夜6時半からは、スタインウェーコンサートホールで、みどりさんの司会のもとに、15歳の少年ピアニスト、Peng Peng君の演奏会が行われました。彼は 作曲家Ravelの作品La Valseを自分独自の表現に書き換え、その天才的な演奏に会場に集まった人たちは、ただただ言葉なく驚くばかり。普通の高校に通いながら、ジュリアード音楽学校でも勉強をしているというこの青年は、いつの日か必ず世界的に有名になること間違いなし!みなさんも是非Peng Peng 君の将来を応援してあげてくださいね。この夜の部には、今年サマーキャンプに参加したスタッフやキャンパーたちも何人か、かけつけてくださいました。
1992年みどりさんが20才で立ち上げたこの財団は、ニューヨーク市の公立校にもっとたくさん音楽教育を促進(そくしん)していこう、というミッションのもとにスタートしました。ニューヨーク市の多くの公立校から、どんどん音楽やアートクラスが削られていく中、この財団は公立校に通う子供たちすべてに、無料で音楽やアートを提供しています。音楽一般のアクテイビテイーだけでなく、楽器演奏やライブ音楽活動、音楽の知識を通してアートをより深く理解できるよう、また音楽を通して創造力を育てるために、本物の音楽やミュージシャンたちを派遣したり、課外授業を提供しています。
2000年ミステリオを立ち上げる1年前にみどりさんと出会った時、彼女からとてもすばらしいアドバイスをいただきました、それは彼女が20才という若さで財団を立ち上げるときに自分が学んだことだと。当時 ”そんな若さで財団を作るなんてムリに決まっている”と、多くの大人たちから反対されたみどりさん、でも、これだ!というものが自分の中で見つかったのなら、また、これが自分のパッションだって心から思えるのでことであれば、絶対にあきらめず自分の意思をしっかりつらぬいてほしい、と語ってくださったのです。私よりはるかに若い彼女が伝えてくださったこのメッセージは、今でも心の中にしっかりと残っています。
みどりさんが語る多くのスピーチの中で、私がとても大好きな言葉をここでご紹介しましょう。”悲しみや苦しみ、そして喜びをわかりあうことから大きな力が生まれ、その力が世界をよりよい方向に導くための力になる” と。
振り返って改めて思い出してみると、みどりさんからのメッセージがきっかけとなり、ミステリオのスローガンである”Make A Difference” が誕生したようにも思います。
現在みどりさんは、世界各地で演奏活動を続けていらっしゃるだけでなく、アメリカ西海岸の大学 University Southern Californiaで教鞭(きょうべん)をとりながら、ご自分のMidori&Friends財団の活動にも力を注いでいらっしゃいます。そんなみどりさんのパッションに共感した私は、今年の夏からこの財団のボードメンバーに加わらせていただき、ここニューヨーク市の音楽やアート教育をより多くの子供たちに提供するお手伝いを、これからはすこしでも協力できればと思っています。
みどりさんのこの財団の15周年記念イベントは、この冬から来年にかけてまだまだ続きます。次回のイベントをどうぞお楽しみに!